内川との出会い

ヨソモノの私たちが出会った富山県射水市にある新湊地区。
この昭和レトロな湊町を流れる「内川(うちかわ)」は、千数百年前から現在に至るまで、地元の人々の生活とともにある「生きた川」です。
川のゆるいカーブに沿って並ぶ定置網漁の漁船、隣とぴったりくっついて建ち並ぶ町家、個性豊かな橋たち。
海運の歴史を色濃く残し、漁業の生活文化を感じるまち。
いろんなものが絶妙なバランスで存在していて、初めて見た風景なのに、なぜか懐かしい気分になりました。
まるで水に浮かぶまちのよう…。私たちは、この風景に、ひとめぼれしてしまいました。

建物との出会い

不思議なカタチの、元畳屋さん。
探検気分で内川散策を楽しんでいたところ、味わい深い雰囲気を醸しだす空き家を見つけました。
三叉路の角地にあって、四角い家の角を二回切られた六角形。この地域では「角切り」といいます。
家の壁面いっぱいに、懐かしい木枠のガラス窓がはめ込まれていました。
昔、畳屋さんだったこの家は、当時築70年ほど。住む主人を失ってからすでに5年が過ぎようとしていました。
人が住まなくなると、老朽化は一気に進みます。
内川沿いに連なる家々は、70〜80年前に建てられたものがほとんど。この家も、本当は取り壊される予定でした。
あちこちの古い家屋が取り壊され、独特の風景は、少しずつ確実に変わってきています。
この風景がなくなってしまうのは、もったいない!なんとかその流れに待ったをかけたい一心で、譲っていただくことができました。

リノベーション

空き家を、ステキな場所に変えよう。
みんなが真似したくなる、来たくなるような「場」ができれば、この内川の風景を残すことにつながるかもしれない。
…そう思って、湊町の畳屋さんの記憶の残るこの場所を、ステキなカフェにしよう、と思いました。
古いところや、畳屋さんの記憶を残しながら、新しいデザインを組み合わせる作業はとても楽しい時間でした。
食べ物や飲み物も当たり前に安全で美味しく、みんなに喜んでもらえるものを。それらを全部ひっくるめて、リノベーションに取り組みました。
当時、この場所を知る人はほとんどおらず、内川もまだまだマイナーな地域でした。
でも、私たちが好きなもの、地域の良いもの、ステキな人々との出会いを楽しみながら、いい場づくりができればいいなと思い、カフェを続けてきました。
オープンから5年、決意もあらたに、WEBページをリニューアルいたしました。
これからも、uchikawa 六角堂をどうぞ宜しくお願いします。